令和元年 霜月 Dr.長嶋の医療コラム 

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医療コラム

令和元年 霜月 Dr.長嶋の医療コラム

今月は「避難所生活」についてお話をします。



 16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが9月23日にニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人達に、時に涙を浮かべながら温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば、《 結果とともに生きなければいけない若い世代 》 はあなたたちを許さないと強く訴えたことは大変衝撃的な出来事でした。

 現在あらゆる国で地球温暖化の影響を受け、自然災害による被害を受けています。

 被災をし避難所での生活を送る際の医療上の注意点について、お話したいと思います。

 第一に 精神面の問題としてあげられるのが、プライバシーの保護が万全ではないための不安・不眠などが多い事です。プライベートスペースは充分な広さもなく、騒音も常にあり周りに気を遣うことも多く、精神衛生上極めて悪い状況であります。

 しかも夜間眠れないこともあったり、イライラしたりと、何となく怒れたりするなどの症状が出現しやすいですね。これらは取り除くことの難しいストレスです。昼間なるべく体を動かし、眠りをとりやすくすることが必要だと思います。

 第二に 避難生活の中で問題となるのがエコノミー症候群です。長時間下肢を屈曲した状態でいると、静脈の流れが悪くなって血栓 ( 血の固まり ) ができ、立ち上がったときにその血栓が上流( 心臓・肺 )へ流れ出し、主として肺内の血管を閉塞して肺梗塞という致命的疾患を引き起こすことがある病態です。

 飛行機のエコノミークラスに長時間座った後、立ち上がった時に発生することが多かったところから、エコノミークラス症候群と呼ばれています。これを防止するためには、下肢の筋肉をよく動かすことです。時々立ち上がって歩いたりすることが最も有効です。水分補給をしっかりとすることも予防効果があるとされています。

 第三の問題は衛生上の問題です。トイレ・手洗い・食事上の問題と、多くは水不足から起こる問題です。最近ではどのようなことが問題となるのかが認識がされたことで、かなり状態は改善し、問題は少なくなってきていると思われますが、それでも慣れぬ環境で排泄などもままならぬ状況下では、何かと問題があると思います。

 最後は持病があり内服治療を行っている方の問題です。避難の際に薬を持って来られなかったという方もいらっしゃると思います。被災をした場合などの緊急時には1週間位服薬が出来なくなる恐れもあります。そんな時には 体を動かすことを控え最小限の運動にとどめ、食事なども控えめにすることが必要かと思います。そして医療関係者が、避難所に到着したら早急に相談して下さい。

 避難所生活は厳しいことが多く本当に大変だと思います。



  • POSTED at 2019年11月14日 (木)