≪ 介 護 詠 ≫ 神経内科医師 白川 健太郎
暑い暑い夏です ( 2025年7月末に原稿を書いています )。 昔はもっと涼しかったですよね。
私が子どもだった頃の夏真っ盛りが、近年の今日は涼しいね、に相当するように思います。
さて、わかば通信の当番、何を書こうかしらと悩んでいたらニュースで 『 新 ・ 介護百人一首 』 を知りました。
NHKが主催するコンテストで、介護にまつわる経験を詠んだ自作の短歌が、日常の介護の様子や短歌に込められた思いなどの説明文を添えて投稿されます。
2024年の募集では12,440首から100首が選ばれたそうです。
ホームページに掲載された入選作を読んでいたら、不覚にもティッシュで涙を拭うことになりました。
作品をいくつか紹介します ( 私が泣いた歌を選んだわけではないです ・ ・ ・ お恥ずかしい )。
車いす通れぬ先の墓に我タブレットつなぐ木陰の父母へ 50代女性
「 車いすユーザーの父と母とお墓参りに行きました。 丘の上にある先祖の墓は通路が狭く、墓前に父は行けません。 私がお墓を携帯で撮影し、墓地の一角にいる母とオンラインでつなぎリアルタイムで一緒にお墓参りするスタイルが定番となりました。」
北斗わかば病院の入院患者さんでもこんなことがあるだろうな、付き添うご家族の後ろにさらにリハビリスタッフが控えているような映像を想像しました。
知識付け介助の力もつけたのに祖母の手引くと泣きだす心 10代女性
「 知識や力をつけて介助、サポート出来ることが増えたのに、祖母の介助となると心が痛む自己の心情を表した。」
若い世代が家族の介護に参加する大変さ、また 病棟の看護師や介護士の姿も思い浮かびました。
(自分の職場である北斗わかば病院が浮かんでしまうのは、作者が詠った切実さとは異なる読みになって
しまいますが ・ ・ ・ 。)
一時も待てぬ夫の車椅子押し炎天の病院三廻り 70代女性
「 病院の待合室、認知症のため、短い時間も待てず、病院の周りをぐるぐると。 何気ない話をしながら歩くのは、辛い中でも穏やかで貴重な時間でした。」
足繁くお見舞いに通ってくれるご家族の姿がすぐに浮かんできます。
100首ありますから、皆さんそれぞれに、ぐっと心に響く歌があるのではないかと思います。
この夏、涼めるのんびり時間に
『 新 ・ 介護百人一首 』 のホームページを訪ねてみるのは如何でしょうか。
- POSTED at 2025年09月12日 (金)