令和4年 水無月 わかばコラム 

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医療コラム

令和4年 水無月 わかばコラム

病院の入り口の紫陽花がきれいに咲いています。
私が北斗わかば病院にきてこの6月でちょうど2年になります。
神経内科や認知症を専門としてきましたので、院長先生をはじめとする若い先生方のお手伝いが、多少でもできればと、気楽に働き始めました。2年たって思うことは、神経難病の患者さんの療養のできる病院はいまだに少なく、『ないならば作ってしまえ! 』という創立者の心意気がこの病院を動かしているのだなということです。
とはいえ、根本的な治療法のない神経難病に対して、治す力のない医者よりも、看護・介護・リハビリのスタッフ達の熱い心と猛烈な働きによって支えられていることに、身内のことながら頭が下がります。

特にリハビリの若いスタッフ達は凄いです。他の多くの病院では病状が良くなり退院する患者さんからの感謝の言葉で、自分達の仕事への喜びを見出していくことでしょう。
しかし、当院ではそれが非常に難しい。目に見える結果は簡単には得られず、やっと得られた改善は、やがては失われていってしまう。私くらいの年齢になれば、小さな喜びこそが人生さ、なんて自分を納得させられますが・・・。それでも、5分でも座ることや、指一本や眉毛の微かな動きを拾い出すこと、最後まで口で味覚を楽しむことなど、患者さん達の‟ 今” が少しでも続くように、自分の仕事を遂行している若いスタッフ達の姿を見ると、うちの病院、なかなかやるじゃん、と誇らしく思います。
先日は体の大きなスタッフが患者さんの歩みに合わせてゆっくりと10m程の廊下を進み、二人で雨上がりの輝く夕陽を一緒に眺めている。その背中を見た私は、思わず涙ぐみそうになりましたよ。寄り添って共に歩む。自分もこうありたいものです。
我が病院の自慢、手前みそ、自画自賛ですみません。

ところで、北斗わかば病院の紫陽花は、6月1日頃には一株ごとに赤・青・紫とくっきりした色だったので、とても不思議に感じていました。( その時の写真は撮り忘れました。)
ご存じのように紫陽花の色は、土壌によって変化をするので、同じ植え込みならば同じような色になるのだろうと思ったのです。それが一雨降った6日には、全ての株が微妙に混じり合った色合いに変化をしていたので、謎が解けました。十分な水分と共に置かれた場所の養分を吸収し、自分の色を出す小さな花たちの愛おしいこと、そして、花壇の手入れをする人達がいたことを思いださせてくれます。

さて、皆様は今おかれた場所でこれからどのような色の花を咲かせていかれますか?
また、私も、医者人生の最終章に小さくても自分の色の花をつけることができるのか。
もうひと踏ん張り頑張ってみます。

あじさい
あじさい 

神経内科医師 石川邦子



  • POSTED at 2022年06月14日 (火)